【ネタバレ】漫画「ミュージアム」は序盤面白いのに終盤の失速感が異常

ミュージアム

巴亮介の漫画「ミュージアム」が映画化するらしく、小栗旬の出ているCMを最近よく見かける。

CMを見て「あれ映画化するのか」と思い、本棚から久しぶりに引っ張ってきた。

ちなみに、1回目に読んだのは大分前で、巻数の少ない漫画を集めるのにハマっていた時期にまとめて読んだ記憶がある。

その時の印象としては、「描写は過激だけど、話は淡々としていて、オチがよくわからん」といった感じ。

正直、面白い漫画は何度も読み返したくなるし、内容も大体覚えているはずなので、あまり記憶に残っていないところを見ると、それほど面白いと感じなかったんだろうなと思う。

とはいえ、まあ時間も経っているので、再読することで何か再発見があるかもしれないと思い、読み返してみることに。

なにより、たった3巻で完結するため、読み返しの労力がかからないのが素晴らしい。

内容のネタバレを多分に含むため、嫌な方はブラウザバック推奨。

ストーリーの概要

以下、Amazonの内容紹介からの引用。

悪魔の蛙男、“私刑”執行。“ドッグフードの刑”“母の痛みを知りましょうの刑”“均等の愛の刑”“針千本のーますの刑”“ずっと美しくの刑”――。すべては、ある1つの裁判から始まった。超戦慄連続猟奇サスペンスホラー、絶望大解禁!!!

引用元:Amazon – ミュージアム

なんかもう、この内容紹介で「ミュージアム」の全てを表現できているような気がしないでもない。

端的に言うと、連続殺人を犯す快楽殺人者と、それを追う刑事の物語である。快楽殺人のターゲットが刑事の身近に及ぶことで、私怨に燃える刑事が道を踏み外しながらも犯人を追いつめていく展開。

沢村久志

ミュージアム vol.1 P87 / 巴亮介(2014) / 講談社

霧島早苗

ミュージアム vol.1 P225 / 巴亮介(2014) / 講談社

この快楽殺人者は殺人を「作品」と称し、そのコレクション性を示すために「僕のミュージアム」という言葉を用いるが、これがタイトルとなっている。

序盤はひたすら殺人描写で、内容が過激かつ殺害方法の演出が凝っているため、好きな人は好きだろう。中盤から終盤にかけては、刑事の犯人追跡及び心理描写が中心で、過激な描写は減ってくる。

展開としては、小説やドラマによくある感じで、それほどの目新しさはない。

1巻は面白いが・・・

1巻については、展開が早く、怒涛の殺人描写もあって、なかなかに引き込まれる内容になっている。グロい描写が苦手な人にはきついだろうが、「母の痛みを知りましょうの刑」なんかは、なるほどと感心させられた。

ただし、各々の殺し方の理由に無理矢理感が強く、読んでいて納得感は薄い。快楽殺人なので殺すのに理由も糞もないのだろうが、それにしても「犬アレルギーの恋人と同棲するために犬を保健所に連れて行った」というだけでドックフードの刑に処してしまうのは、彼の美学的には許容されるのだろうか。

殺人を作品と称すのであれば、そのバックグラウンドは重要だと思うのだが、「殺す」ことに執着しすぎて殺し方を選択した理由が雑になっては、とても作品と呼べるものに昇華できていない気がするのだが。

まあ、それは置いておくとして、殺人方法については趣向が凝らされているため、猟奇殺人の読み物としてはなかなかに面白いと思う。

 

問題は2・3巻および最後の落ちなのだが、正直淡々としすぎて印象に残らない。「つまらない」とは言わないが、面白いかというと・・・。

刑事の捜査もありきたり、私怨に走って道を踏み外していく様もありきたり、途中で殺される人の死に方も非常にあっさり描写。

極めつけは、犯人がただのキチガイだったので、殺人動機への共感も糞もなく、「ああ、そうなんだ」と思うだけである。猟奇サスペンスホラーというものはこういうものなのかもしれないが、心に感じるものが特になかった。

最後の「妻を刑事自身が撃ち殺して作品(殺人)完成」という展開には意外性があったが、このアイデア一発で漫画2冊分を読ませるには少々弱い。

1巻における過激描写やシナリオ展開の引き込む力が凄かっただけに、2・3巻の淡泊な感じが余計に際立ってしまったのが残念。

オチがよくわからない

これは私の読解力の問題かもしれないが、オチがよくわからなかった。

ハッピーバースデーは何を暗示していたのだろうか。

「快楽殺人者の第3のエンディングに考えを巡らせるうちに、思考がそれに限りなく近づいてしまい、主人公自身が新たな怪物となってしまった?」とか、

実は家族3人での誕生日会は主人公の後悔の念が見せた幻覚で、家族全員死んでいるのが現実?」とか、

いろいろ考えたのだが、どうもしっくりくるものがなかった。

これに関しては、何か納得のいく答えを持っている方がいれば教えてほしい。

映画化には向いている作品

いろいろと書いたが、絵もきれいで、展開もそこそこ早いため、読みやすい作品ではある。

また、漫画にしては内容がリアル路線なため、実写化には向いていると思われる。シーンごとの間や心理描写なども、BGMが使用でき表情をリアルタイムで動かせる映画の方が、良さが際立つ気はする。

個人的には、オチをどう解釈して、どう映像化するかに関心があるので、時間があれば観に行きたいと思う。

たった3冊なので、興味のある人は3巻セットなどを購入して、映画上映前にでも読んでみてはいかがだろうか。