2016年11月25日に放送された「ものまね王座決定戦」において、ビューティーこくぶが「ポール・ポッツ」のモノマネで優勝を果たした。
ビューティーこくぶって誰?と思った方は、ジャパネット高田のモノマネをしている人と言えばわかるだろうか。これでわからなければ、おそらく知らないので今覚えるしかない。決勝では西洋人に寄せたメイクをしていたため、元の面影は全く無くなっていた。
ちなみに「ポール・ポッツ」のモノマネと聞いてもピンと来ない方もいると思うので、YOUTUBEの動画を貼っておく。
「携帯電話の販売員だった男がイギリスのオーディション番組でオペラ曲を歌い一躍有名になった話」はニュースなどでも大々的に取り上げられたので、ご存じの方も多いと思う。その男というのがポール・ポッツである。
ものまね芸人であるビューティーこくぶは、上記動画のポール・ポッツのモノマネをしたのだが、果たしてモノマネと言っていいのかどうか…。
オペラ曲に真似るもクソも無い
そもそも、オペラ曲のモノマネって何?というところから。
オペラや声楽の曲というのは、素人が聞くと違いがよくわからず、何となく同じ風に聞こえてしまうものだと思う。もちろん上手い下手はあるし、声質や体の使い方で歌唱力や表現力は天と地ほどの差になる。そういう意味では、ポール・ポッツとビューティーこくぶの歌には天と地ほどの差があり、とても似ているとは言い難い。
そもそも、声や動きの特徴などを真似て「似ている!」と思わせるのがモノマネの醍醐味だと思うのだが、オペラ曲を選んでしまうと、それは単純な歌唱力勝負になってしまう。あの歌をきっちり歌いあげたのは凄いと思うし、声量もかなりのものだったが、ポール・ポッツと比べるとやはり何段も見劣りする。
それっぽく歌った結果、それっぽく聞こえてしまった歌に、モノマネとして評価できる要素が果たしてあったのだろうか。ただの「よく歌い切りました賞」でしかないのではないか。モノマネって一体何なのだろうか。
「ものまね」じゃなく「カラオケ」
確かに決勝進出者の中でビューティーの歌唱力は抜群であった。クリカンやコージー富田なんて似てないし歌も下手だしで酷いものだったので、それに比べれば遥かにマシだった。
しかしマシというだけで、モノマネとして良いものだったとは思えない。そういう意味では、清水良太郎の「玉置浩二」の方がはるかにモノマネっぽかったと思う。彼を差し置いてビューティーが優勝したのは、単に「歌唱力が凄かったから」というだけだろう。
こういう似てもいないのに成りきってノリノリで歌っている姿を見ていると、どうしても「カラオケ」を思い出してしまう。エンターテイメントではなくただのオナニーなので、見ていて”なんだこれは”感が拭えないのだ。
「ものまね」という名を冠するのであれば、もう少し特徴を真似る努力をして欲しいと思う。ミラクルひかるなんかは決勝の完全劣化版superflyよりも、準決勝のおふざけ工藤静香の方が完成度も高く面白かった。決勝戦が完全にカラオケ大会に成り下がっていたので、いっそのこと「カラオケ王座決定戦」に番組名を変えた方が良いのではないだろうか。あ、もう既にあるか。